先日、TwitterでこんなDMをいただきました。
読みにくいかもしれないので再掲。
【DM】
トモユキさんは主に留学をして英語力を上げたとブログの方でおっしゃっておりましたが帰国後、海外の薬剤師として働くことはお考えになりましたか?
海外の薬剤師の方が地位や給料など日本の薬剤師よりも優れている部分があると個人的には思います。
先月、イギリスの薬学部に研修に行く機会があり、そこでは日本よりも規制が厳しくなく、薬剤師が処方を行える環境でした。
個人的には海外で働いた方が仕事のやりがいもあり、給料なども高いので魅力的に見えました。
そのことについてはどうお考えでしょうか?長文失礼致しました。
僕に聞きたいことをまとめると
- 英語ができるのに海外で薬剤師になろうと思わなかったのか?
- 海外の薬剤師の方がやりがいもあって給料も良さそうだけど、それについてどう思う?
の2つだと思います。
面白そうなネタだし、特に「英語できるのに海外で薬剤師をやろうと思わなかったの?」はよく聞かれるので、ブログに書くことにしました。
僕は履歴書もぐちゃぐちゃだし、完全にレールから外れてしまってる人間なので参考になるかはわからないですが。
では本題へ!
*ちなみにDM主からは許可もらってます。
英語できるのに海外で薬剤師になろうと思わなかったの?への回答
「英語できるのに海外で薬剤師をやろうと思わなかったのか?」への回答ですが、僕は1ミリもそんなことは考えませんでした。
英語ができても海外で薬剤師をやろうと思わなかった理由
英語ができても海外で薬剤師をやろうと思わなかった理由は、「ずっと薬剤師として働いていこう」と思っていなかったからです。
意識の高い薬剤師に怒られてしまいそうですが、僕は飽きっぽい性格なので「同じ職業でずっと生きていくの、無理すぎる」とずっと思っていました。
そのため、薬剤師以外のスキルを身につける必要があったわけですが、色々と考えた結果、その一つが英語だったわけです。
「東京オリンピックもあることだし、通訳ガイドみたいな仕事もちょろっとできたらいいな」
みたいな。(実際、通訳案内士という語学系唯一の国家資格も取った)
で、紆余曲折あり、けっきょくプログラミングにどハマりして、今は薬剤師+プログラミングみたいな感じで生きています。
トータルすると、僕にとって薬剤師という仕事はお金を稼ぐ手段の一つに過ぎないので、海外で薬剤師をやるみたいな大きなモチベーションを最初から持っていなかったのです。
英語圏へ行くと”英語ができる”という優位性が消える
あと英語圏へ行くと、せっかく英語ができるのに”英語ができる”という優位性が完全に消えてしまいます。
日本にいれば、
「えっ、英語できるんですか?!すごいですね!」
と褒めてもらえる機会がすごく多いです。
けど、英語圏へ行くと違います。
なぜなら、英語なんて話せて当たり前だから。
せっかく英語をたくさん勉強してそこそこできるようになったのに、英語ができるという優位性が消えてしまうのは、ちょっとしんどいなと。
「海外で薬剤師になるんだ!」という目的が第一にあるのなら、優位性なんて全然気にしなくても良いと思います。
けど、意識低い系薬剤師の僕にとっては、せっかく日本にいるだけで英語スキルを評価してもらえるのに「英語なんてできて当たり前だろ」となる環境に身を置きたいなんて考えられませんでした。
英語ができるのに海外で薬剤師をやろうと思わなかった理由はこんな感じです。
「海外の薬剤師はやりがいもあって給料も良さそうだけどどう思う?」への回答
「海外の薬剤師の方がやりがいもあって給料も良さそうだけどどう思う?」という質問については、正直よくわかりません。
なぜかというと、僕は薬剤師として海外で働いたことがないからです。
けど、海外就職した友人(非薬剤師)は何人かいるので、その人たちから聞いた話などを参考に、「海外で働く」について僕の意見を書いておこうと思います。
海外で薬剤師をやることに興味があるなら挑戦する価値はある
質問者さんは海外で薬剤師として働くことに関してポジティブな印象を持っているんだろうなと思います。
【DMより抜粋】
海外の薬剤師の方が地位や給料など日本の薬剤師よりも優れている部分があると個人的には思います。
先月、イギリスの薬学部に研修に行く機会があり、そこでは日本よりも規制が厳しくなく、薬剤師が処方を行える環境でした。
個人的には海外で働いた方が仕事のやりがいもあり、給料なども高いので魅力的に見えました。
僕の社会人経験から言うと、同じ仕事をしていても「楽しい!」と感じる人もいれば「つまらない」と感じる人もいるので、実際に働いてみないかぎり自分に適性があるかは分かりません。
質問者さんはイギリスの薬剤師に良い印象をお持ちかもしれないですが、たぶんイギリスで働いている薬剤師の中にも、「薬剤師、おもんな」と思いながら働いている人は少なからずいると思うんですよね。
実際に働いてみないと自分に適正があるか分からない以上、海外就職に興味があるなら早いうちにチャレンジしておいた方が良いと思います。
若ければ若いほど、リカバリーしやすいので。
ある程度、歳を重ねてから挑戦して「なんか違ったわ」となるとキャリアに大ダメージなので、チャレンジするなら早いうちが良いのは間違いないです。
僕の経験上、チャンレンジして失敗しても後悔ってほとんどしないですけど、やらなかった後悔ってその後の人生にずっとつきまとうんですよね。
本当に海外で薬剤師として働きたいなら挑戦する価値はあると思うので、とりあえずトライしてみることをオススメします。
給与に関しては海外就職前にしっかり確認しよう
給与に関しては、日本の薬剤師と単純に比べても意味がないので、そこは注意が必要です。
例えば、日本より薬剤師としての給料が高くても、就職した国の物価が高ければそこまで良い暮らしはできません。(質問者さんが留学したイギリスは、たぶん日本より物価が高い気がする)
さらに言うと、国によって税制も違います。
「額面では日本よりももらっているけど、手取りは日本と同じくらいだった」みたいなパターンがあるかもしれないので、海外就職する場合はお金周りの確認をしっかりしておきましょう。
日本にもやりがいを持って働いている薬剤師はたくさんいる
そしてもう一つ言っておきたいのが、日本にもやりがいを持って働いている薬剤師はたくさんいるということです。
たしかに日本の薬剤師は医師の指示がないと一包化すらできないくらい裁量が少ないのは事実ですけど、楽しそうに働いている人もたくさんいます。
特にTwitterにいる薬剤師アカウントとかは、そんな感じの人が多い印象です。
薬学生から「ぜひお話を聞きたい!」とDMがくれば先輩方も悪い気はしないと思うので、学生という特権を活かして気になった薬剤師アカウントに話を聞いてみるのも良いと思います。
海外就職を決断するのは、そういった薬剤師の話を聞いてからでも遅くはないかなと。
海外就職の失敗談はなかなかネットに出てこないという事実
最後に、ちょっとだけ怖い話を。
ネット上には海外就職のキラキラした情報が溢れています。
しかし、海外就職の失敗談ってあまり出てこないんですよね。
なぜかというと、失敗談は金にならないから。
海外就職の支援をすることによってお金が動くので、わざわざ海外就職希望者を萎縮させるような情報ってネット上には出てきにくいんです。
さらに言えば、わざわざ「失敗したことをさらけ出したい」なんて人もあまりいませんしね。
海外就職は華やかそうに見えますが、実は失敗して帰国してくる人も結構な数います。
僕の友人たちもそうです。
憧れの海外就職をしたけど、「なんか違った」と何人かは帰国してきました。
こういった身近な例をみていると、
- 海外で薬剤師になろうとしたけど挫折した
- 海外で薬剤師として働いたけど、実はそんなにやりがいがなくて帰国した
みたいな人って意外といるんじゃないかなと思います。
データがないので、本当のところは分からないですが。
普通の海外就職なら帰国すればOKですが、海外で薬剤師をやろうとなると、語学の勉強をして、大学も入り直して、長期間の実習をやって、、、といった莫大なコストがかかります。
なので、そういったリスクを負ってまで挑戦したいのかは、ちゃんと考えた方が良いでしょう。
海外就職の良さを発信しているアカウントもありますし、その情報を参考にするのは良いと思いますが、生存者バイアスがかなりかかっているという事実は頭の片隅に置いておいた方が良い気がします。
まとめ
以上、薬剤師の海外就職についてでした。
僕は海外就職に最初から興味はなかったですが、興味があるなら挑戦する価値はあると思います。
やってみないと自分に合うかは分からないので。
ちなみに英語の勉強法については、以下の記事にまとめてあります。
興味があればどうぞ。
少しでも参考になれば嬉しいです。
では。