オンライン薬局の登場で薬局薬剤師の仕事はどのように変わるのか | Tomoyuki Kato's Blog

オンライン薬局の登場で薬局薬剤師の仕事はどのように変わるのか

Pharmacist
この記事を書いた人

PharmaXというオンライン薬局のスタートアップで薬剤師・エンジニアとして働いています。Rails・React・TypeScriptなどを書きます。英語が得意でTOEIC900点・通訳案内士資格取得。主に薬剤師の働き方やプログラミング、英語学習について書きます。当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
>> 詳しいプロフィール

Tomoyuki Katoをフォローする

 

オンライン薬局で働き始めて1ヶ月くらいが経ちました。

おかげさまで、とても楽しく働けています。

 

 

少しずつオンライン薬局での仕事にも慣れてきたので、振り返りの意味も込めて

 

「オンライン薬局が普及したら薬局薬剤師の仕事ってこんな感じになるんじゃない?」

 

的なことについて考えてみました。

 

ただし、これから書くことは薬局業界の規制がどんどん緩和がされていくことを前提に書いてるので、ツッコミどころも多いと思います。

 

なので、軽い気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。

では本題へ!

 

オンライン薬局の面白いところ

 

僕がオンライン薬局で働き始めて、特に面白いなと思ったのは以下の2点です。

 

1:選ばれる理由が立地依存じゃない

リアル店舗の薬局が選ばれる理由の大半は

  • 病院・クリニックから近い
  • 家から近い
  • 職場から近い

の3つなんじゃないかなと思います。

 

けど、オンライン薬局は立地が関係ありません。

立地に依存しないことは、2つの点で面白いなと思いました。

 

サービスの質で選ばれる

リアル店舗の薬局の場合、近くに競合となる薬局がなければ、サービスを改善しようというインセンティブが生まれにくいです。

 

しかし立地に依存しないオンライン薬局は、サービスの質を高めないとお客さんをつかめません。

 

サービスをより良くする動機づけがリアル店舗よりも強いので、より便利で快適なユーザー体験を提供できるんじゃないかなと思います。

 

かかりつけ薬局を持つキッカケとなる(かも)

リアル店舗の場合

  • 職場が変わったり
  • 引っ越したり
  • 病院が変わったりしたら

もう来なくなります。

 

しかしオンライン薬局は、立地依存じゃないため関係が切れにくいです。

 

フォローアップをしやすいので、リアル店舗よりもオンライン薬局の方が本当の意味でのかかりつけ薬局になりやすい気がします

 

 

2:服薬指導を対面でやると逆に適切な指導をできなくなるかも?

僕が働いているオンライン薬局では、チャットで薬の相談をできます。

 

相談内容については詳しく書けないのですが、けっこう深刻な相談が多いんですね。

薬局の外来対応ではあまり聞かないレベルの内容です。

 

この時に思ったのが、服薬指導を対面でやると逆に適切な指導ができなくなるかもしれないということです。

 

自分の病気のことを赤の他人にしたいと思いますか?

たぶん、ほとんどの人はしたいと思わないでしょう。

 

以前、LINEでイジメ相談を始めたら、2週間足らずで1年分の相談件数を上回ったという話がありました。

 

イメージとしてはそんな感じ。

 

薬剤師として働いていると

 

「えっ、なんでそんな大事なこと今まで黙ってたん?!?!?\(^o^)/オワタ」

 

と1度は思ったことがあるはずです。

 

けど、チャットであれば薬剤師の顔が見えないので、相談する心理的ハードルが一気に下がります。

 

そのため、患者が抱えている問題をちゃんとヒアリングしやすいというわけです。

 

僕にとっては少しショッキングだったのですが、もしかしたら対面でなくチャット対応の方が服薬指導は良いのかもしれません。

 

 

オンライン薬局の登場で薬剤師の仕事はどう変わるか

 

では、オンライン薬局が普及してくると、今の薬局薬剤師の仕事はどのように変わっていくのでしょうか。

 

僕はこんな未来になるんじゃないかなと思っています。

 

より薬学的な専門性を求められる

まず、薬剤師はより専門性を求められるんじゃないかなと思います。

 

この記事を書いている段階では、対面での服薬指導が義務付けられていますが、「服薬指導はチャット対応でもOKやで」となったらどうでしょう。

 

こういう世界になったら、よくある質問に関してはチャットボットが自動返信することになると思うんですね。

 

で、人間の薬剤師は何をやるのかというと

  • イレギュラーな質問
  • 専門性の高い質問

へ対応することになるんじゃないかなと。

 

そのとき必要になってくるのは、信頼できる情報源にちゃんとアクセスして、それをもとに適切な回答をするスキルでしょう。

 

これが「薬剤師はより専門性を求められる」と僕が考える理由です。

 

こういうスキルを養う一歩としては、薬剤師のための医療情報検索テクニックという本がとてもオススメ。

 

未来に役立つというより、この先ずっと役に立つスキルなので、今から読んでおいた方が良いと思います。

 

[amazon_link asins=’4931400973′ template=’kaereba’ store=’tmykkt-22′ marketplace=’JP’ link_id=’cbbc247b-868f-4545-8bc0-2377b406e59a’]

 

 

もしかしたら、

「チャットボットが万能なら全部の質問に答えてくれるんじゃね?」

と思った人もいると思います。

 

けど、チャットボットが適切な回答をできるようになるには、かなり大量のデータを用意して学習させる必要があるんですね。

 

なので、専門性が高い質問だったり、頻度がそこまで高くない質問に関しては学習用データを集めるのが大変なので、チャットボットに対応させるのは少し難しいんじゃないかなと。

 

おそらく人間の薬剤師が対応しないと厳しいと思います。

 

チャットボットに関して詳しく知りたい場合は、ちょっと古いですけど以下の本がオススメです。

次に来る大きな変革と言われているチャットボットについて分かりやすくまとめられています。

 

興味がある方はぜひ。

 

[amazon_link asins=’4800711428′ template=’kaereba’ store=’tmykkt-22′ marketplace=’JP’ link_id=’d24686e5-b6c9-437d-af42-7081a9ea5b4a’]

 

患者の利便性を考えるスキルの重要性が増す

次に重要なのは、患者の利便性を考えるスキルの重要性が増すということです。

 

患者の利便性とは要するに

  • 薬の相談をもっと気軽にしてもらうには何をすべきか
  • 薬を購入するまでの過程を円滑にするにはどうすべきか
  • この薬を買うんだったらこれも一緒に買ってもらった方が良いのでは?

みたいな視点ですね。

 

これは以前の記事でも少しだけ触れました。

 

 

この記事でも書いたように、薬剤師よりもエンジニアの方が患者の利便性を本当によく考えています。

 

なぜ彼らが薬剤師よりも患者の利便性を考えるスキルに長けているのか。

 

それは

  • ユーザーがサイトから離脱しないようにはどうすれば良いだろう?
  • どういった動線を作れば、より良いユーザー体験を提供できるだろう?

と日頃から思考を巡らせているからです。

 

例えば、無意識に何度もアクセスしちゃうWebサービスってないですか?

 

これはユーザーが何度も使いたくなるような動線や仕掛けを優秀なエンジニアが作った結果なのです。

 

一方、薬剤師はコンプライアンスや副作用をはじめとする薬が患者に及ぼす影響に関してはとてもよく考えています。

 

が、ユーザーの利便性まで考えている薬剤師はごく少数でしょう。

 

「じゃあ、エンジニアに利便性の面は任せちゃえば良いじゃん」

と感じた人もいると思いますが、僕の言いたいことはそういうことじゃありません。

 

より良いユーザー体験を提供するには、薬剤師として実際に働いた知見も必要だからです。

 

例えば、

  • この薬は飲みにくいからオブラートも一緒に売った方が良いんじゃない?
  • この人はたくさん薬を飲んでいるから、お薬カレンダーも必要かも?

みたいな点に気づけるのって、現場で実際に働いたことのある薬剤師の強みだと思うんですね。

 

こういう点は、たぶんエンジニアだとパッとは思いつかないでしょう。

 

何が言いたいかというと、「薬剤師とエンジニアが協力すれば、より良いサービスを作れるよね」ってことです。

 

「今まではこういう流れでサービスを提供していたけど、もっとこうしたら患者さんにとって利便性が良くなるんじゃないか」とゼロベースで考えるクセを今からつけておくと良いかもしれません。

 

在宅医療が薬局薬剤師のメインの仕事となる

そして薬局薬剤師の仕事は、どんどん在宅医療にシフトしていくんじゃないかなと思います。

 

在宅医療に従事している薬剤師だったら分かると思うんですが、在宅医療が必要な患者は自分で薬の管理をするのが難しく、ちゃんと薬を服用できないことが多いので、よりパーソナライズしたサービスを提供する必要がありますよね?

 

在宅医療は一人一人に最適化させないといけないので、ITによる効率化が難しいんじゃないかなというのが僕の感想です。

 

一方、外来対応はどうでしょうか?

↓はすごく雑に書きましたが、こういう流れの会話ってけっこうないですか?

 

薬剤師「いつもの薬です。薬を飲んでいて特に変わったこととかないですか?」

 

患者「ないです」

 

薬剤師「余っている薬はないですか?」

 

患者「ないです」

 

こういう患者であれば、リアル店舗で薬剤師が対面で対応する必要性ってあまりないと思うんですね。

 

というか「チャットボットに返答するだけで十分では?」という気がします。

 

このように外来対応は比較的定型化しやすいと個人的には思っていて、オンライン薬局とリアル店舗の棲み分けはここになるなんじゃないかなと。

 

要するに、

  • 外来対応はオンライン薬局にシフト
  • パーソナライズが必要な在宅医療はリアル店舗

みたいな感じです。

 

リアル店舗の薬局はオワコンと言われたりしますよね?

けど、高齢化が急速に進んでいく日本では、在宅医療を必要とする人もどんどん増えていくはずです。

 

このような理由から、リアル店舗がオンライン薬局に駆逐されることはないでしょう。

 

むしろ急激な高齢化が進む日本ではリアル店舗の重要性も増していくはずなので、リアル店舗とオンライン薬局はそれぞれの強みを活かして共存していく気がします。

 

スーパーマーケットだって、ネットスーパーにリアル店舗が駆逐される気配なんてないですしね。

 

まとめ

以上、オンライン薬局が普及したら薬局薬剤師の仕事はどんな感じに変わっていくのかの考察でした。

 

「自分はこう思う!」みたいな意見があれば、Twitterでぜひ教えてください。

 

いろんな意見が聞きたいです。

皆さんの意見、お待ちしております!

>> Twitter

 

では!

タイトルとURLをコピーしました