アメリカでオンライン薬局サービス『amazon pharmacy』のローンチが発表され、とても話題になっていますね。
僕はオンライン薬局を運営・開発するYOJO Technologiesに勤めているので、気になりすぎて夜も眠れませんでした(眠れる)。
おそらく僕以外にもアマゾン薬局のことを気になっている人がいると思うので、この記事ではアマゾン薬局について調べたことをまとめてみました。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
アマゾン薬局とは
アマゾン薬局は名前の通りAmazon.comが提供するサービスの1つです。
いわゆるオンライン薬局というやつですね。
Amazonで処方薬を注文をすると、家まで薬を届けてもらえます。
YouTubeにアマゾン薬局のCMが転がっていたので、よかったらチェックしてみてください。
これを試聴すればアマゾン薬局の概要がなんとなく分かると思います。
既存の薬局、この利便性に勝てるんか。。。
ちなみに、アマゾン薬局のローンチが発表された後、アメリカの薬局チェーンCVSは8.5%、Walgreenは10%、Rite Aidは17%も株価が落ちたそうです。
アマゾン薬局で注文する方法
アマゾン薬局の公式ページによると、たったの3ステップで薬が配送されるみたいです。
ステップ1:登録
まずは情報の登録です。
具体的には、
- Basic info
- your medications
- Any allergies or health conditions
の3つ。
Basic infoは、たぶん名前とか住所とかそういう情報だと思われます。
your medicationsは服用中の薬のことでしょう。
Any allergies or health conditionsは、アレルギーとか既往歴などのことですね。
ステップ2:処方リクエスト
処方薬の配送なので処方箋をアマゾン薬局に送ることが必要です。
処方箋をAmazon薬局に提出する方法は、2020年11月現在は以下の2つがあるみたいですね。
- ユーザー自身が処方者にAmazon薬局を使いたいと依頼する方法
- Amazon薬局から処方者に依頼する方法
ちなみに、前者のやり方の方が薬の配送は早くなるようです。(まぁ当たり前か)
Amazon薬局から処方者に依頼するパターンだと2〜4日配送準日までかかるっぽい。
ステップ3:配送
処方箋を受け取った時点で、ユーザーに連絡が来るみたいですね。
で、プライム会員であれば2日内に無料配送してくれます。
ちなみに、アマゾン薬局は2020年11月時点では日本では利用できません。
アメリカのみとなっています。(ハワイ、イリノイ、ケンタッキー、ルイジアナ、ミネソタ以外)
アマゾン薬局が配送してくれる薬
アマゾン薬局では、慢性期・急性期に使われる先発医薬品・ジェネリック医薬品を幅広く提供しているとのこと。
冷蔵保存が必要なインスリンも送ってくれるみたいなのですごいですよね。
ただし、
- オピオイドみたいな依存性のある薬
- インスリンのポンプ・ネブライザー・血糖測定器みたい医療器具
- ワクチン
- ペット用の処方箋
などはまだ利用できないみたいです。
あと意外だったのが、ビタミン剤やOTC医薬品はアマゾン薬局では取り扱っていないということ。
Amazon.comの方で買えるからということなのだろうか。
アマゾン薬局は何がすごいのか
色々とアマゾン薬局について調べてみたのですが、個人的にすごいなぁ(というか良いなぁ)と思った店は以下の5つです。
1:薬を届けてもらえる
なんと言っても、薬を届けてもらえるのは良いですよね。
薬局で薬をもらうのに待つ必要がないのは、かなりでかいよなと。
このメリットがあるだけで、アマゾン薬局を利用したいなと思わされます。
2:24時間年中無休で薬剤師が薬の相談に乗ってくれる
アマゾン薬局では、24時間年中無休で薬剤師が薬の相談に乗ってくれるらしいです。
日本の薬局は「24時間対応します」とは言っているものの、ちゃんと対応できていなかったりしますからね。
けど、Amazonさんはガチで24時間ちゃんと対応しそうな予感しかしない。
Amazonのカスタマーサービスに問い合わせしたことがある人なら分かると思うのですが、Amazonの対応って本当にすごいんですよ。
僕は以前Amazonで購入したものが届かなくて、カスタマーサービスの方とチャットをしたことがあるのですが、10秒くらいで返信がきたんですよね。(しかも手動メッセージ)
サービスをローンチしてすぐの時期はレスポンスに時間がかかるかもしれないですけど、いずれあのスピード感で薬剤師と相談できるようになるんだろうなぁと勝手に思っています。
3:すべての薬の注文履歴や処方の詳細を管理できる
すべての薬の注文履歴や処方の詳細を管理できてしまうのも、アマゾン薬局を利用するメリットだなと。
日本にも電子お薬手帳はありますが、QRコードを読み込んで薬を登録しなといけないので非常に面倒じゃないですか。
けど、アマゾン薬局で薬を購入すれば、Amazonがお薬手帳として機能してくれるわけで。
わざわざお薬手帳アプリをダウンロードしなくていいので便利すぎますね。
あとAmazonはAlexaというAIアシスタントサービスを提供していますが、ある程度データが集まったら「Alexa、いま服用している薬について教えて!」と言えば、すぐに自分が飲んでいる薬が分かるみたいなこともできるようになりそうですよね。
ちなみに、入手したユーザーの医療情報をマーケティングや広告のために使うことはないそうです。
4:複数の薬を飲んでいる場合は一包化してくれる
Amazonは2018年にPillPack(ピルパック)という、オンライン薬局を運営するスタートアップ企業を買収しています。
このPillPackが一包化サービスをを提供しているんですよね。
PillPackを買収しているため、当然ながらアマゾン薬局でも複数の薬を飲んでいる場合は、一包化して薬を届けてもらえます。
5:支払う料金に透明性がある
あと地味にいいなと思ったのが、購入前に支払う料金が分かるということです。
薬剤師として働いたことのある人なら分かると思うのですが、日本の薬局って服薬指導が終わったあとに「今日の薬は〇〇円です」って値段を伝えるじゃないですか。
けど、患者さん的には薬を購入するのにいくらかかるか事前に知っておきたいと思うんですよね(値段が分からないの怖くない?)
値段が事前に分かるだけで安心感があります。
ちなみにアマゾンプライム会員なら、先発医薬品が最大40%off、ジェネリックだと最大80%になるみたいです。(保険を適用しない場合)
日本は国民皆保険なので、アマゾン薬局が日本に上陸してもこの割引はないかもしれないですね。
まとめ
アメリカと日本では医療制度に違いがあるので、この記事で紹介した全てのサービスが日本でも使えるとは思わないですが、もしアマゾン薬局が上陸したら日本の薬局業界に大きなインパクトを与えることはまず間違いないでしょう。
まだまだ法律的なハードルがあるものの、コロナの影響で日本の医療業界も規制緩和をする方向へ進んでいるので、アマゾン薬局にとってはかなり追い風になっているのではないかなとこの記事を書いていて感じました。
Amazonの上陸で日本の本屋さんはかつての半分くらいの数になったらしいですが、薬局もそうなったりするんですかね。(特に零売薬局とかは打撃がすごそう)
薬剤師の僕としてはアマゾン薬局の上陸はちょっと怖い気もしますが、サービスとしてはとても楽しみなので、アマゾン薬局が日本でも利用できるようになったらすぐ使ってみたいと思います。
参考になれば嬉しいです。
では!
参考資料
- amazon pharmacy
- PillPack
- We tried PillPack, the pharmacy startup Amazon acquired for $1 billion, and we can see why it has big pharmacies terrified
- Drugstores, Insurers Suffer $22 Billion Blow on Amazon Move
- Here’s How Amazon is Giving the Pharmacy Industry a Taste of Its Own Medicine
- What is Amazon Pharmacy, how to sign up, and how does it work?
Here’s what you should know about Amazon’s new pharmacy business
- Introducing Amazon Pharmacy: Prescription Medications Delivered