つい最近IT企業に転職したので、IT企業に勤めている薬剤師を集めて交流会を開催しました!
で、控えめに言ってとても楽しくて、有意義な交流会となったんですね。
これをクローズドな空間にとどめておくのはもったいない….!!
というわけで、個人的に「面白いな」とか「こういうことを知りたい薬剤師は多いんじゃないかな」と思ったトピックを中心に交流会で話したことをまとめてみました。
特に「このまま薬剤師になって良いんだろうか」みたいな薬学生さんには参考になるんじゃないかなと。
ちょっと長いですけど、興味があれば読んでいってくださいませ。
では本題へ!
IT企業に勤めている薬剤師が色々と語り合う会の参加者
まず参加者を簡単にご紹介します。
加藤智之
このブログの中の人です。
新卒で調剤併設型ドラッグストアへ入社。
薬剤師をやっていましたが、2年くらいで辞めて語学留学へ。
帰国後は個人経営の薬局で在宅医療に従事しつつ、通訳案内士の資格を取ったり、プログラミングをやったり色々していました。
で、紆余曲折あって2020年6月現在、オンライン薬局の運営・開発をするYOJO Techonologiesで薬剤師兼エンジニア(主にエンジニア)として働いています。
履歴書がボロボロなのが特徴。
松野正太郎さん
薬学部卒業後、YOJO Techonologiesに入社。(僕の同僚です)
新卒でスタートアップに就職するという、なかなか思い切ったことをした強者で、YOJOではカスタマーサクセス部門(超ざっくり言うと、能動的に顧客へ働きかけ、顧客の成功を達成させる仕事)で働いています。
入社の動機は、普通の薬剤師になりたくなかったからとのこと。
相手への気遣いがとてもうまいので薬剤師としての素養もあるし、一般的な薬剤師があまり持っていない思い切りの良さがあって、とても面白い人です。
最近、新しくTwitterアカウントを作ったみたいなので、ぜひフォローしてあげてください。
こもりんさん
社会人2年目の薬学部卒エンジニア。
薬剤師というよりも、ビジネススキルを学びたくて営業代行の会社に入社し、今はIT部門で働いているそうです。
コロナの影響で会社が休業中で、今はほぼニート。(休業中の給与補償は100%なので、特に問題ないとのこと)
弊社の取締役で開発チームリーダーの上野氏いわく、「こもりんは世の中を舐め腐ってる感じが良い」とのことでした。(交流会中も届いたばかりのゲーミングチェアをひたすら組み立てており、本当に舐め腐ってて草)
あと、こもりんさんの面白いところは、会社勤めをしながらYouTuberもやっているところですね。
自由な会社すぎる…
どこにあるんだ、そんな会社。
こもりんさんのYouTube、ぜひチェックしてみてください。
いのうえしげゆきさん
いま勢いのあるクラウド電子薬歴を提供している会社の薬剤師エンジニア。
20数年調剤薬局で薬剤師として働いたり、経営にも携わっていた経験豊富な方です。
薬剤師として薬局で働いている時、プログラムを書いて患者情報のデータベースなどを作り業務の効率化をしていたそう。(すげぇ…)
アンドロイドのコミュニティに属しており、そこの知人からの紹介でクラウド電子薬歴の会社で週3からお手伝いを始め、2年前から正社員に。
そして個人的に1番驚いたのが、いのうえさんが薬剤師なら1度は聞いたことがあるかもしれない某添付文書検索アプリの開発者だったことですね。
「わし、そのアプリ使ってたんだが?!?!??!」ってなりました。
Twitterすごい人たくさんいるな。
松本大夢さん
某医療系スタートアップでインターンをしている慶應義塾大学薬学部4年生。
弊社の松野と同じく、カスタマーサクセス(能動的に顧客へ働きかけ、顧客の成功を達成させる)として働いているそうです。
臨床ではなくビジネスサイドに興味があるので、薬剤師として就職することは今のところ考えていないみたいんだとか。(薬剤師免許は取得する予定)
僕は意識の低い薬学生だったので、将来のことを考えながら、ちゃんとアクションを起こしている松本さんはすごいなと。
今から唾をつけておいて、2年後に弊社へ引きずり込もうと思います。(気が早い)
よねいさん
4年制薬学部を卒業後、分子生物学分野の遺伝子発現変動メカニズムに関する研究をしている大学院生。(よく分からんけど、何かすごそう)
IT企業への就職が決まり、来年からエンジニアとして働くそうです。
「IT企業で働く薬剤師ってどんな感じなのだろう?」という好奇心から参加を決めてくれたんだとか。
実は今回の交流会、薬剤師だけで開催する予定だったのですが、よねいさんは学生であるにも関わらず、「参加したい!」とリプライをくれました。
こういう行動力、すごくいいですよね。
参加を断られるかもしれないけど、「参加したい」と表明しないことには100%参加できないわけなので。
アデノシンさん
よねいさんの研究室の後輩。
現在、薬局実習中で薬剤師として働くのか悩んでいる迷える仔羊。
進路に迷っているため、IT企業で働く薬剤師のことを知りたいと参加を表明してくれました。
最近、競技かるたのYouTuberとしても活動を始めたそうです。(ちはやふる!!)
YouTubeを始めるバイタリティと「IT企業で働いている薬剤師の交流会です」と呼び掛けているにも関わらず応募してくるこの行動力があるので、薬剤師以外の就活をしてもうまくいくのではないかなと思いました。
はるなさん
薬科大学の4年生。
薬剤師として働くべきかか悩んでいる迷える仔羊。
僕も進路にかなり悩んでいたので懐かしい。
メモを取りながら、熱心に参加者の話を聞いているのが印象的でした。
彼女の話を聞いていて思ったのですが、オブザーバーとして薬学生の方も募集すれば多くの学生さんの役に立ったかもなぁと少し後悔。(すまん)
彼女も4年生になったばかりにも関わらず就職について真剣に考えているし、「IT企業で働いている薬剤師の交流会です」と呼び掛けているにも関わらず応募してくる行動力もあるので、普通に就活うまくいきそうだなと思いました。
IT企業で働く薬剤師はどんな仕事をしているのか
IT企業で働いている薬剤師は、いったいどんな仕事をしているのでしょうか。
今回の交流会の参加者+僕の知り合いのIT企業勤め薬剤師の事例をご紹介いたします。
IT企業で働いている薬剤師はどんな仕事をしているのか
僕の知っている限りだと、IT企業勤め薬剤師はだいたい以下の4つに分類される感じですね。
エンジニア
まずはエンジニアです。
要するに、プログラミングをする人ですね。
今回の参加者だと、いのうえさん、こもりんさん、僕が該当します。
PCの前でカタカタとコードを書いて自社プロダクトの新機能の開発だったり、プロダクトを良くするための企画ミーティングへの参加がメインの仕事です。
顧客対応
顧客対応もよくある仕事です。
IT業界だと、カスタマーサクセスと呼ばれることが多いみたいですね。
交流会の参加者だと、松本さんと弊社の松野がカスタマーサクセスをしています。
カスタマーサポートのような顧客の問い合わせに対して回答する受動的な仕事ではなく、カスタマーサクセスは能動的に顧客へ働きかけることが特徴です。
たとえば、僕の勤めているYOJO Techonologiesでは、漢方薬のサブスクリプションサービスを提供しています。
カスタマーサポート的な仕事だと顧客からの質問に答えるだけです。
一方、YOJOのカスタマーサクセスは漢方を売って終わりではなく、さまざまな角度から積極的に顧客へアドバイスをし、顧客の満足度向上に努めています。
コンテンツライター
Webメディアのコンテンツライターとして働いている薬剤師もいます。
薬学的な知見を活かして、薬や健康に関する記事を書く仕事ですね。
薬剤師なら記事内容の監修もできるので、薬剤師としての専門性を活かしやすいです。
多くの人に自分の書いた記事を読んでもらえるのも魅力だと思います。
SNS運用・マーケティング
ヘルスケア系企業で、SNS運用・マーケティングの仕事をしている薬剤師もいます。
要するに、自社サービスを知ってもらう仕事ですね。
自社サービスの魅力をちゃんと伝えられなければ、どんなに良いサービスを作ったとしても売ることはできません。
特にヘルスケア系サービスだと、薬学部で学んだことが自社サービスへの理解を深める手助けをしてくれます。
それがユーザーの心に刺さるSNS運用・マーケティングにつながるのではないかなと。
数字で成果がみられるシビアな面はありますが、自社の成長を肌で感じられるので面白そうな仕事です。
薬剤師がIT企業に就職する方法
では、どうすれば薬剤師はIT企業へ就職できるのか。
いろんな人に話を聞くと、以下の4つの経路が多いです。
誘われる
まずは誘われるパターンです。
僕はTwitterでDMをもらって入社しましたし、いのうえさんもプログラミングのコミュニティ経由で誘われて入社、そして弊社の松野は社長の辻ともともと友人関係だったこともあってその縁で入社と、意外と『誘われるパターン』は多いっぽいですね。
『誘われるパターン』でIT企業に入社するには、いろんなコミュニティに顔を出したり、SNSで情報発信をしていたりなどしていることが重要です。
ビジネスSNS経由
WantedlyというビジネスSNSがあるのですが、ヘルスケア系のIT企業が医療系人材を募集していることがあるので、それに応募するという方法もあります。
Wantedlyに登録しているのは若いIT企業が多いので、「新しいことをやりたい」とか「柔軟な働き方をしたい」みたいな薬剤師にはピッタリな仕事の探し方かもしれません。
YOJO Techonologiesでも薬剤師を募集中です!
興味のある方はぜひ!
インターンをして入社する
学生の時からインターンをして、そのまま入社するパターンもあるみたいです。
自分が会社にフィットするか分かった上での就職なので、可能ならこのパターンが1番良いのではないかなと個人的には思っています。
僕はインターンではないですが、週3業務委託から正社員になりました。
会社の文化を理解した上で入社できたので、違和感なく働けてよかったなと思っています。(今のところは)
普通に就活する
最後が普通に就活するパターンです。
一般的な薬学部ってだいたい病院か薬局ドラッグストアかMRかみたいな進路が多いと思うのですが、参加者の松本さんいわく慶應の薬学部は薬剤師になるよりも、一般企業に勤める人の方が多いそうです。
僕が薬学部2年か3年の時に慶應の薬学部ができたので、あまり慶應薬学部のことを知らなかったのですが、慶應の就活文化は他の私立薬学部と毛色が違ってすごく面白いなぁって思いました。
この話を聞いて思ったのは、「薬学部卒でもちゃんと就活さえすれば、薬剤師以外の就職先は意外と見つかるのではないか」ということです。
周りがほとんど薬剤師になるがゆえに、薬剤師以外の就活をちゃんとしている人が少ない。
その結果、「薬学部へ進学したら薬剤師になるしかない」みたいな固定概念が作られてしまっている説はわりとある気がしました。
交流会参加者のこもりんさんも星薬科卒からのエンジニアなので、特に上位私立薬学部では少しずつ薬剤師以外の進路も増えていくかもしれないですね。
IT企業薬剤師に寄せられた質問への回答
最後にTwitterで募集したIT企業薬剤師に寄せられた質問への回答を簡単にまとめておきます。
(すみません、いただいた質問全ては聞けませんでした)
プログラミングを始めたキッカケは?
【加藤】
留学先でプログラミングをやっている人に出会って、面白そうだなと思ったから。
海外に住みながら円を稼ぐって楽しそうだよなと。
【こもりん】
会社で突如プログラミングをやることになったから。
特にやろうと思って始めたわけではない。(今は楽しいらしいです)
【いのうえ】
ゲームをやりたかったから。
BASICという雑誌があり、それを見ながらプログラムを組んで遊んでいた。
プログラミング初心者の薬剤師が現場の効率化のためにコードを書けるものなのか
【いのうえ】
施設用の領収書発行システムや患者情報のデータベースを作り、業務効率化をしていたので頑張ればできると思う。
ただし、コツコツと勉強する努力は必要。
【加藤】
可能だとは思うが、わざわざプログラミングを勉強するのはコスパが微妙だと思う。
今は便利なツールがたくさんあるので、まずは自分の現場に必要なツールを探して、それを利用するというアプローチを考えた方が良いのではないか。
IT企業に転職するのですが、薬剤師の資格があってメリットと感じたことは何かありますか?
【こもりん】
いろんな人に「薬剤師免許を持っている人」として覚えてもらいやすい。
あと薬剤師の資格を持っていると、衛生管理者の資格を申請だけで取れるので、それで労働管理できるのが良い。
【いのうえ】
薬剤師としての経験があったからこそ、エンジニアとして今の会社に就職できたので、とても役に立っている。
薬剤師としての経験がなければ、自分の技術力だと入社できなかったと思う。
エンジニアリング×薬剤師の掛け合わせは可能性が広がる。
【加藤】
いのうえさんと同じ。
リアル飲み会で2回目を開催してほしいです
今回開催してみて楽しかったので、次はリアルワールドでもやりたいと思います!
開催が決まったらTwitterで告知します!
年収はおいくら億円ですか?
弊社取締役が失礼な質問をしてすみません。
厳しく注意しておきます。
まとめ
薬剤師が活躍できるフィールドは、薬局や病院、ドラッグストアだけはありません。
IT企業でも活躍できます。
「薬剤師に向いていないかもしれない….」と絶望している薬学生・薬剤師は意外と多いと思うので、そういった方たちのキャリアプランの参考になれば嬉しいです。
これからも薬剤師の働き方について発信していくので、よかったらフォローしてお待ちください!
では!